街場の成熟論

2023年12月14日 17:17

「街場の成熟論」内田樹著を読みました。著者の内田樹さんは、フランス文学者、武道家(合気道凱風館館長、合気道七段、居合道三段、杖道七段)、翻訳家、思想家、エッセイスト、元学生運動家(三里塚闘争に参加)、旧東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了、神戸女学院大学名誉教授。フランス現代思想の専門家として、エマニュエル・レヴィナスの研究や著作を多く手掛けている。レヴィナスをはじめ思想の簡明な解説や、知的エッセイを数多く執筆。少子高齢化、成熟した資本主義経済の末路への予想から、消費を基盤とした経済システムが終焉を迎えつつあるとし、今後は共同体による相互扶助、共生的な考え方を基盤とした社会を目指すべきだしている。(Wikipediaより)

この本では、現代日本社会のさまざまな問題や現象について、親切、品位、勇気などの徳目を失いつつあると指摘し、市民的成熟へと導く道標を示しています。例えば、複雑な話は「複雑なまま」扱った方が良いという考え方や、ものごとは原理よりも「程度の問題」で考えるという姿勢などを提案しており、著者の豊富な知識と鋭い観察眼と洞察力で思いがけない視点を提供してくれます。(チャットGPT作、一部加筆あり)

非常に興味深く読ませていただきました、複雑な話は「複雑なまま」扱った方が良い・・・そもそも考えてみれは単純な問題であれば、多くの人が納得できる解決法が時間をかけず容易く見つかるはずで、いろいろなことが絡み合っているからこそ複雑になってしまっている場合が多いのでしょう。絡み合っているものを解こうとしたら、慎重に時間をかけて一つ一つ解してゆくような精神力が必要となります(こうした精神力を持つことも成熟することに一つなのかもしれません)、パチンと指を鳴らせば単純化され、理解しやすくなるというのは幻想で且つ危険なことであるとするのは納得させられました。また「程度の問題」で考えるということについては、ものごとは流動的に常に変化しているとして、ある一つの時点で固定化せずに時代や意識の変化に合わせて、「あり・なし」「0・1」で考えるのではなく、注意深く今現在の適度なポイントを探っていく姿勢が重要というのは考えさせられました。

著者は「はじめに」でこう書いています。「大人になってね」という働きかけが功を奏すれば、子供たちは大人になる。失敗すれば、社会は子供ばかりになって、その人たちが権力や財力や発言力を持ってしまうといろいろな不具合が生じる。だから、大人の頭数を増やす必要がある。別に日本人全員が大人になる必要はありません。全体の7%くらいが「まっとうな大人」であれば、世の中はなんとか回ります。(はじめにより抜粋)・・・・・権力や財力や発言力はないので特に問題はないと思うのですが93%の方にいます・・・恥ずかしながら年齢だけ大人になってしまったものとしては耳の痛い話ですが、「王様は裸だ!」と言える子供の心を忘れないのであればまだ救いようがあるのかもしれない(ないかもしれない)・・・・・・・。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)