危機の二十年 1919−1939

2025年06月11日 17:32

「危機の二十年 1919−1939」E・H・カー著を読みました。著者のE・H・カー氏はイギリスの歴史家、国際政治学者、外交官、文筆家。ケンブリッジ大学を卒業後1916年から1936年までイギリス外務省に勤務。ウエールズ大学アベリストウィス校(現在、英王立アベリストウィス大学)の国際政治学の正教授に就任。第二次大戦中はイギリス情報部を経て「タイムズ」紙の編集委員として活動。戦後の冷戦期には、その親ソ的な発言が批判された。対照的なアザイア・バリーンおよびアイザック・ドイチャーの友人であるが、英米の自由放任主義、ネオリベラリズムを批判し、現代社会秩序の成り立ちを合理的にとらえようと考え続け、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジのフェローとして、ソヴィエト=ロシアおよび20世紀国際政治の研究をライフワークとした。(Wikipediaより)

1939年に刊行したこの本の内容は、
「国際政治は、つねに力の政治である。しかし、それは事実の一端でしかない」カーは、徹底的な事実の分析に立脚した理念の構想を基本姿勢として、戦間期の世界情勢の本質に迫る。法律的・道義的アプローチが支配的であった国際関係論において権力政治(パワーポリティクス)の重要性を強調した現実主義(リアリズム)の本として知られる。しかし同時に、反リアリズム=ユートピア的主義もまた同書に存在しており、そこに本書の価値があると指摘する研究者もいる。一方で、同書の圧倒的な影響力は、国際関係論におけるカー、即「危機の二十年」といったステレオタイプ図式を生み出した。カーは戦間期から、大戦中、50年代にかけて旺盛に執筆した国際関係に関する講演・論文・新聞記事・レビュー・図書には、あまり関心が持たれてこなかった。その他著書に「平和の条件」「ソビエト=ロシア史」「歴史とは何か」等がある。(Wikipediaより)

第一次世界大戦と第二次世界大戦の戦間期、86年前に書かれたものですが、現在も国際政治は“力の政治“であることはあまり変わっていないように思えます。もちろん世界政府の様なものができて、法執行機関が整備される様なことはまだ未来の話なのでしょう。が、しかしカー氏の時代から少しづつ進んでいることもある様です。経済制裁や外交的圧力を通じて国際法の遵守を促す仕組みは、“力の政治“が現実であることを受け止め、国際法の限界を実感しつつも・・・このままではいけないと考えた人たち(法の公平な運用を願う人々)の危機感の現れであって、この忍耐強い一歩一歩の先に平和な世の中があるように思えます。カー氏が現在の世界情勢を見たらどう考えるでしょうか?・・・・・考えてみたいと思います。

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