新しいリベラル

2025年11月12日 14:58

「新しいリベラル」橋本努/金澤悠介著を読みました。
橋本努博士は東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。現在、北海道大学大学院経済学研究科教授。シノドス国際社会動向研究所所長。社会経済学、社会哲学。主著に「自由原理:来るべき福祉国家の理念」「自生化主義:自由な社会はいかにして可能か」「消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神」など多数。
金澤悠介博士は東北大学大学院文学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。現在、立命館大学産業社会学部現代社会学科教授。専攻は計量社会学、社会意識論。共著に「人生中期の階層構造(シリーズ少子高齢化社会の階層構造2)」「公正社会のビジョン:学術的アプローチによる理論・思想・現状分析」などがある。(表紙著者紹介より)

この本の内容はこんな感じです、リベラルの衰退が著しい。もはやリベラルに未来はないのか?実は日本には「新しいリベラル」と言いうる人々が存在する。7000人を対象とする社会調査から、この事実が浮かび上がってきた。しかも、人間の「成長」に希望を見出すこの人たちは、最多数派を占める。にもかかわらず、これまで見落とされてきたのはなぜか?従来型のリベラルや保守層など他の社会集団と比較しながら、「新しいリベラル」が日本政治に与えるインパクトと可能性を示す!(表紙裏の内容紹介より)

著者らの調査によると、6グループに分類された社会層「新しいリベラル」「従来型リベラル」「成長型中道」「政治的無関心」「福祉型保守」「市場型保守」のうち最大のボリューム層に当たり、成長を思考する者への支援、次世代支援、子育て・教育の充実などを重視するそうです。その中心は(もちろん高齢者や独身の方もいますが)、安定した生活を送る子育て世代であり、高学歴で比較的若年層で構成されているようです。時代に応じてこうした安定した生活を送る層の人々が、リベラルな考え方(しかも新しい)を構成するのは自然な流れのような気もします。もしかするとこうした層の考え方を汲み取る政党が、政治家が出現すれば世の中は変わっていくのかもしれません。もう少し欲を言えば、「新しいリベラル」と言われている方々は、これからさらに増加してくる公共サービスの負担を、どのように?誰が?負担することが良いと考えているか、消費税か?はたまた別の税金か?を調査してもらいたかったと思います。もしも政府からの支援を考えているのであれば理想だけではなく現実に向き合わなければなりません。理想で一括りにできても現実を突きつけられると、それぞれ個別の事情が左右してまとまることが難しくなることはよくあることではないかと思います。政党や政治家が理想を語らなくなったら世の中暗くなるばかりだと思いますが、反面、あまり耳障りのよくない負担の話をしなければ社会的投資どころではなく、次世代にツケばかり残すことになる・・・・・・よく考えてみたいと思います。

記事一覧を見る