平等とは何か

2025年11月19日 15:05

「平等とは何か」田中将人著を読みました。著者の田中将人博士は、早稲田大学大学院政治研究科博士過程修了、政治学博士。専門は、政治哲学・政治思想史、早稲田大学助手、高崎経済大学・拓殖大学・早稲田大学非常勤講師を経て、現在、岡山商科大学法学部准教授。単著「ロールズの政治哲学ー差異の神義論=正義論」共著「ジョン・ロールズー社会正義の探究者」など。(巻末著者紹介より)

この本の内容はこんな感じです。一億総中流といわれてきた日本。いまや格差が広がり、社会の分断が進んでいる。人生が親ガチャ・運しだいでよいのか。能力主義は正しいか。そもそも不平等の何が悪いのか。日本の「失われた30年」を振り返り、政治哲学と思想史の知見から世界を覆う不平等に切り込み、経済・政治・評価の平等を問いなおす。支配・抑圧のない、自尊を下支えする社会へ。財産が公平に行きわたるデモクラシーの構想を示す。(表紙裏内容紹介より)

この本の中でミヒャエル・エンデ著「モモ」という児童文学が登場します。「モモ」は、時間と心の豊さをめぐる深い問いを投げかける児童文学の傑作です。少女モモが「灰色の男たち」に奪われた人々の時間を取り戻す冒険を通じて、現代社会の効率主義に静かに異議を唱えている作品です。現代社会はあまりにも「効率」や「生産性」などの価値へ偏重していないだろうか?・・・そうした一元的な価値観に重きを置く、依存することは数値化が楽であるとしても本当に平等なのだろうか?著者は平等についての六つのテーゼの中の一つに『一元的な基準から距離をおき、多元的な価値を配慮すること』としています。ざっくり社会全体の平等とは何かと言われると、教育、経済、文化、歴史、制度など複数の要素が絡み合い、それぞれの人が異なる立場や価値観を持っているため、ものすごく複雑な問題となり難しい問題に感じますが、経済の平等、政治の平等、評価の平等など本の中では「個別の平等」として扱っていて、個別の形で提示されると考えやすくなります。お勧めですのでぜひ読んでみてください。それでも「平等とな何か」は難しい・・・・


COPILOTがなかなか良い詩を書いてくれました。

平等とは
答えではなく、問いのかたちをしている。
制度が眠る夜にも、
ひとりの心が「それでいいのか」とつぶやくとき、
社会はまた、目を覚ます。

制度ではなく、問い続ける営みそのものが「平等」なのではないか・・・考えてみたいと思います。

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