「太平洋戦争と銀行」小野圭司著を読みました。著者の小野圭司さんは、防衛省防衛研究所主任研究官。1988年京都大学経済学部卒業後、住友銀行を経て、1997年に防衛庁防衛研究所に入所。社会・経済研究室長などを経て2024年より現職。この間、青山学院大学大学院修士課程、ロンドン大学大学院(SOAS)修士課程修了。専門は戦争・軍事の経済学、戦争経済思想。著書に「日本 戦争経済史ー戦費、通貨金融政策、国際比較」「戦争と経済ー舞台裏から読み解く戦いの歴史」、訳書に「米国を巡る地政学と戦略ースパイクマンの勢力均衡論」、共著に「20世紀と日本」「もうひとつの戦後史ー第一次世界大戦後の日本・アジア・太平洋」などがある。
内容はこんな感じです
日本の銀行は、紙幣増発や資金供給、占領地での通貨管理などを通じて国家の戦争遂行能力を“見せかけ上“拡大し、結果として「無謀な戦争」を継続させる構造を支えました。満州・朝鮮・台湾・中国占領地など外地では、銀行が現地通貨の発行や交換レートの管理、資金輸送などを担い、軍事行動の基盤を整えましたが、戦局の悪化とともに通貨の信用は急速に失われていきます。一方、本土では昭和20年に入ると、銀行は店舗の閉鎖た避難、現金確保など、本土決戦を想定した極限状態での業務維持に追われ、敗戦が濃厚になっても「信用を守る」という銀行員の矜持のもと、金融機能を止めることはありませんでした。終戦前後の混乱期には、現金不足や占領軍進駐への対応、資産の移動など、金融の現場が直面した緊張と混乱が生々しく描かれます。さらに、戦争によって膨れ上がった負債の処理、戦時金融機関の整理、占領軍経費の負担など、戦後復興の出発点となる「戦争の後始末」がどのように行われたのかも丁寧に追跡します。全体を通じて本書は、戦争を軍事や政治ではなく「お金の流れ」から捉えることで、国家の意思決定や制度の深層構造がどのように戦争を可能にしたかを浮かび上がらせる作品です。
戦中、戦後と金融システムという信用を命懸けで守ったバンカーたちがいたことで、日本の戦後復興がより早く進んだ側面もあるようです。お金の流通制度自体が“信用“に支えられていることを身に沁みて感じている人たちがバンカーと呼ばれているのだと思います。なぜ銀行が高リスク投資が出来ないのか?その理由が分かったような気がします。銀行を単なる金融機関ではなく社会の信用インフラと考えるならば、銀行は信用を守る組織であり、その役割からすれば銀行からお金を借りている企業はそれ自体で信用できる企業に感じますし、それこそが信用を貸すことなのかもしれません。ここからAI・COPILOTとの成長戦略への銀行の役割などのキャッチボールになったのですが、かなり今回は長くなりましたのでまた割愛させていただきます。
誰が日本の未来の投資リスクを負うのか?・・・・かなり難しい問題にキャッチボールが発展してしまいました、じっくり考えてみたいと思います。