杉山 和一

2020年06月18日 17:27

今日は江ノ島に行って来た話なのですが、その前に現在使用されている鍼灸師の使う鍼について説明したいと思います。現在使用されている鍼はエチレンオキサイトガス滅菌された滅菌(微生物を完全に殺滅すること)済ディスポーザブル鍼が主流です、もちろん厳重に密封されておりますがきちんと使用期限が決められています。おそらく殆どの鍼灸院では鍼を行う場合は、管鍼法という方法で行われており、私が使用している鍼も管鍼法に使用されるためのもので、鍼管というプラスチック製の筒状のカバーみたいなものにセットされた状態で製品化されています。この鍼管が鍼よりも少し短くなっているのがミソで、皮膚に刺入する場合、鍼を鍼管にセットされたままの状態で刺入したい場所に立てて、若干出た柄の部分をトントンと叩いて皮膚に刺入する方法です。(写真1、2番目)

これを踏まえた上で江ノ島へ行って来た話なのですが、江ノ島には現在の三重県津市出身で鍼灸師の杉山検校(検校とは盲人の役職)、本名杉山和一(1610年ー1694年)のお墓があります。この杉山和一さんが何をした人かと言いますと、ある時江ノ島にこもって21日間の断食をして鍼の技術向上を祈願した杉山和一は、満願の日の帰り道、石に躓いて気を失ってしまいます。その時夢の中で弁財天が現れ、手をあわせて拝もうとしたところ、チクチクと体を刺すものがありました。夢から醒めた和一が、手に取っていたのは松葉の入った竹の筒。これをヒントに和一は管鍼法を考案したとされ、そのつまづいた石は福石と名付けられて江ノ島に残されています。中国で生まれた鍼治療ですが日本では独自に工夫された技術が主流となっていて、皮膚に刺入するときの痛みが大幅に軽減したとされています。我々後世の鍼灸師も常に新しいものを吸収して、伝統的なものばかりではなくファッシア理論やリハビリ理論などを取り入れていけるように勉強を怠ってはいけないと感じた1日でした。(写真3、4番目)


ちなみに江ノ島は東京オリンピックセイリング会場になっており、私は今年の8月セイリングを観戦する予定でした(残念!!)。来年行われることを祈っています。1964年の会場となった建物は新しい建物に変わってすごいきれいになってました。(写真一番下)

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