「百年かぞえ歌」大崎梢著を読みました。著者の大崎梢さんは、書店勤務を経て、2006年「配達赤ずきん」でデビュー。同作をはじめとする「成風堂書店事件メモ」シリーズで人気を博す。他の著書に「片耳うさぎ」「平台がおまちかね」「スノーフレーク」「プリティが多すぎる」「スクープのたまご」「本バスめぐりん」「バスクル新宿」「27000冊ガーデン」「春休みに出会った探偵は」など。また共著に「大崎梢リクエスト!本屋さんのアンソロジー」がある。執筆集団〈アミの会〉にも参加し、同会のアンソロジー「ここだけのお金の使い方」「おいしい旅しあわせ編」などにも作品が収録されている。(巻末の著者紹介より)
内容はこんな感じです
静かな海辺の町・里海町。地元出身の作家・貴地崇彦の文学館を担当する坂口由佳里は、ある日、刑事から奇妙な知らせを受ける。身元不明の青年の遺体から、なぜか貴地に関する葉書が見つかったというのだ。ほどなくして、貴地の“かつての恋びと“と噂される老婦人・艶子が現れ、「貴地先生には、まだ果たされていない約束がある」と語りだす。由佳里は同級生の夏央とともに、貴地が生前に残した“かぞえ歌“の謎を追うことになる。
百年前にこの町で起きた出来事。
作家が遺した言葉の断片。
そして、現代の不審死をつなぐ一本の細い糸。
静かな文学館を舞台に、時を越えて受け継がれてきた“思い“が少しずつ姿を表す。過去と現代が重なり合うとき、由佳里は自分自身の痛みとも向き合い、新しい一歩を踏み出す勇気を見つけていく。人の記憶と願いが百年の時を渡って響き合う、大崎梢が紡ぐ優しく深いミステリ。(COPILOTによる内容紹介)
なぜか2時間ドラマの火曜サスペンス的なミステリーは安心して読めます。ごく普通の市井の人々の生活に、降って湧いたように事件が降りかかり、謎解きに町の人たちが巻き込まれていく。よく考えてみれば現実的にはありえない展開で、ごく普通の街に殺人事件は起こらず、ごく普通の市民が謎解きに奔走することはありえない展開なのですが、予測可能な予定調和で読める展開がものすごく安心できます。COPILOTに聞いてみると、これは非日常を借りて日常を整えるという日本的な物語の使い方なのだそうです。これは日本の昔話と同じ構造で、話の流れが、1、村に問題が起こる。2、主人公が旅に出る/試練にあう。3、助けが入り、問題が解決。4、村に平和が訪れる。といった流れの型があり。現実には起こらないが、完全なファンタジーではない“距離感“がちょうどよく。勧善懲悪という安心の結末。ゆっくりとした展開で次の展開が読める。などの点が共通していて、昔話は、村の暮らしの中で不安や恐れを“物語の中で処理する“役割を持っており、つまり2時間サスペンスは、現代の“日本昔ばなし“の役割を担っているようです。欧米のミステリーとの比較では、欧米は「混沌の中で真実を探す」文化、日本は「秩序を回復する」文化があり、欧米は「個人の物語」、日本は「共同体の物語」、欧米は「犯人の心理」を掘り、日本は「因果」を掘る、欧米は「真実の暴露」がクライマックス、日本は「納得の回復」がクライマックス。・・・・・・こうした世界の調和を取り戻す日本式ミステリーには日本人の深層心理が隠されているかもしれません・・・・・。