荷風の昭和《前編》関東大震災から日米開戦まで

2026年05月20日 17:37

「荷風の昭和《前編》関東大震災から日米開戦まで」川本三郎著を読みました。著者の川本三郎氏は文学、映画、漫画、東京旅などを中心とした評論やエッセイなど幅広い執筆活動で知られる。著書に「大正幻影」、「荷風と東京」、「林芙美子の昭和」、「白秋望景」、「成瀬巳喜男 映画の面影」、「『男はつらいよ』を旅する」、「マイ・バック・ページ」、「いまも、君を想う」、掌篇集「遠い声/浜辺のパラソル」など多数。訳書にカポーティ「夜の樹」、「叶えられた祈り」などがある。ちなみにこの本の中でも随所に登場する成瀬巳喜男監督についての本を出版されていますが、私もファンで文学作品系の原作:林芙美子「めし」「浮雲」、原作:岸田国士「驟雨」、原作:室生犀星「杏っ子」、原作:川端康成「山の音」などは観ています。「成瀬巳喜男 映画の面影」は機会があったら読んでみたいと思います。(表紙裏著者紹介より)

この本は、関東大震災後に大きく姿を変えていく東京を背景に、永井荷風がどのように昭和という時代を迎えたのかを、日記「断腸亭日乗」の細部を手がかりに描き出していく。震災によって江戸の面影が失われていくことに深い喪失を抱えつつ、荷風は下町を歩き、夜店の鉢植えや川沿いの風景、私娼の姿といった小さな生活の断片を丹念に記録し続ける。著者はその観察の鋭さに注目し、荷風が単なる懐古的文化人ではなく、食品サンプルや新語の流行、カメラの普及といった都市の変化にも敏感に反応する“モダンな観察者“であったことを浮かび上がらせる。また、軍国主義が強まる昭和初期にあって、荷風は時代の空気に迎合せず、孤独な個人主義を貫くが、その姿勢は頑固さというより、変わりゆく東京の中で自分の歩幅を守ろうとする静かな抵抗として描かれる。こうして前半では、老境に向かう荷風が、都市の変貌と時代の圧力のただ中で、なおも自らの感受性を信じて街を歩き続ける姿が、昭和という時代の輪郭と重なりながら立ち上がってくる。(COPILOT作内容紹介)

「時雨ふる夕、古下駄のゆるみし鼻緒切れはせぬかと気遣いながら崖道づたひ谷町の横丁に行き葱醤油など買うて帰る折など、なんとも言へぬ思のすることあり。哀愁の美感に酔ふことあり。此の如き心の自由空想の自由のみはいかに暴悪なる政府の権力とても之を束縛すること能はず。人の命あるかぎり自由は滅びざるなり。」太平洋戦争に突入していく時代に、荷風は自由は生活の中にある・・・・そう言いたかったのかもしれません。


永井荷風が代表作「墨東奇譚」書いた時の年齢は57歳だったそうです。独身、一人暮らしの散歩好きのアラ還のおじさんというところは一緒です。高校時代だったと思いますが「墨東奇譚」は読んでもよくわからないだろうと思って読むのをやめた記憶があります。そろそろ読んでも理解できるかもしれません・・・出来れば山本富士子さん主演の映画で見たかったのですが、Netflixでは見られないようなので文庫本で読むことにしました、読むのを楽しみにしたいと思います。

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