希望の一滴

2022年01月20日 17:03

「希望の一滴」は旱魃や戦乱で荒廃したアフガニスタンで、医療や灌漑事業による復興支援に力を尽くした中村哲医師が西日本新聞に連載したものや、ペシャワール会報に載せた文章とアフガニスタンで撮られた写真によって構成された本です。中村哲さんは1946年福岡県生まれ。九州大学医学部卒業。国内病院勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境の州都ペシャワールのミッション病院ハンセン病棟に赴任しパキスタン人やアフガン難民のハンセン病治療を始める。その傍ら難民キャンプでアフガン難民の一般診療に携わる。1989年よりアフガニスタン国内へ活動を拡げ、山岳部医療過疎地でハンセン病や結核など貧困層に多い疾患の治療を開始。2000年から、旱魃がひどくなったアフガニスタンで飲料水・灌漑事業用井戸事業を始め、2003年から農村復興のため大掛かりな灌漑事業に携わる。同年、「アジアのノーベル賞」と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞。2019年にはアフガン政府から名誉市民権を授与された。同年12月4日、アフガニスタン・ジャララバードで武装集団に銃撃され、73歳で命を落とす。以上巻末の紹介文より。・・・なぜ中村さんは襲撃されなければならなかったのでしょう?・・・なぜ亡くならなければならなかったのでしょうか?。私はアフガニスタンを訪れた事はなく現地の状況はわかりませんが、あまりにも理不尽い思えて、暗い気持ちになります。犯行は通称TTPパキスタン・タリバン運動(パキスタン北西部を拠点に活動するスンニ派過激組織)によるものだとされています。中村さんがアフガニスタンや日本に残したものはあまりにも大きい。ぜひこの本を読んでいただきたいと思うのですが、中村さんの残した言葉で心に響いた幾つかを抜粋させていただきたいと思います。

『他人様を助けることは何かを捨てることである。与えるとは自分の何かを失うことである。』

『必要なのは思想ではなく、温かい人間的な関心であった。』

『我々はどこに流されているのか。次の世代に残すべきものは何か。今こそ知恵を尽くして真剣に問うべきだ。それが戦争や経済成長ではないことは確かである。』

中村さんの残された言葉、こうした想いと真面目に向き合わなければならないと感じました。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)