世界でいちばん幸せな男

2022年02月03日 17:43

「世界でいちばん幸せな男」これはアウシュヴィッツ生存者であるエディ・ジェイクさんがその壮絶な人生を語っている本です。エディ・ジェイクさんは1920年ドイツで生まれたユダヤ人。ナチス政権下、ブーヘンヴァルトやアウシュビッツなどの強制収容所に送られ、両親はアウシュビッツのガス室で殺されました。1945年、「死の行進」の最中に脱出し、アメリカ軍に救出され、1950年、家族と共にオーストラリアに移住。1992年より、シドニーのユダヤ人博物館でボランティアを始め、2016年頃よりYouTubeなどで自身の体験を語り始めています。ちなみに世界的な大反響を呼んだ2019年のTED  TALkSは見たのですが、日本語字幕がなく数%しかわかりませんでした。(この本の巻頭に書いてある、わたしの後ろを歩かないで。あなたを導けないかもしれないから。わたしの前を歩かないで。あなたについていけないかもしれないから。ただ並んで歩いてほしい。友として。と言っているのはわかりました)

わたしのあくまでも個人的な感想ですけれども、なぜかはわかりませんが、この本の文章やTDEのトークから、恨みや絶望感の様な(人間の負の部分のドロドロした)ものがあまり感じられないのです。エディさんが辿った人生を描いた自伝と言っても良いと思いますが、その壮絶な苦しみや悲しみからはそうしたものが生じていても不思議ではないと思います(もちろん自分自身にもそうした負の部分のドロドロしたものがあると思っています)。しかしエディさんはそうしたものを飲み込んで乗り越えてしまった様に感じます。その辺のヒントはエピローグにあると思うのですが、エディさんはこう書いています。『だからわたしはだれも憎まない。ヒトラーさえ憎まない。だが、許してはいない。もし許せば、死んだ六百万人を裏切ることになる。許すことなどできるはずがない。これは、自分の口で言えなくなった六百万人の言葉だ。またわたしは、彼らの人生を生きている。できるかぎりの最高の人生を。』この文章には考えさせられました。ぜひ本を読んでみてください。

最後にもう一つ「人生は美しいものにしようと思えば、美しいものになる。幸せはあなたの手の中にある。」
おそらく原文は「Life can be beautiful if you make it beautiful. It is up you.」

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