83歳のやさしいスパイ

2022年02月11日 12:03

「83歳のやさしいスパイ」(英題The Mole Agent)マイテ・アルベルディ脚本・監督という映画を観ました。この映画は2020年チリ・アメリカ・ドイツ・オランダ・スペイン製作のドキュメンタリー映画であり、老人ホームで潜入捜査をすることになった83歳の素人探偵の姿を通して、ホーム内で繰り広げられる多彩な人間模様を描いている。Rotten tomatoesではレビュー支持率94%、平均点は7.5となっています。(日本では2021年一般劇場公開されています、わたしはi-Tunes Storeで観ました)

ジェームス・ボンドにイーサン・ハント・・・カーアクション、銃撃戦、心理戦、美女とのロマンスなどを演じている有名なスパイが登場しますが、それらとはまったく違う世界でいちばん“やさしい”“のんびり”としたスパイ映画となっています。この作品での主人公は、83歳のごく普通の男性セルヒオ。とある老人ホームの入居者が虐待されているのではないかという疑惑があり、そのターゲットの様子を密かに克明に報告する、というのが彼に与えられたミッションです。不慣れなことを何とかこなそうと悪戦苦闘するセルヒオですが、人生でやりがいを感じられなくなっていた彼は、幾つになっても新しいことにチャレンジするというやりがいを感じています。妻を亡くしたばかりで悲しみの中にある彼は、傷ついている人を放っておけない性格で、調査を行うかたわら、いつしか悩み多き入居者たちの良き相談相手となってしまうが・・・・・。彼が最後に導き出したものとは何だったのか。ぜひ観てくださいおススメです。

この映画は施設の内幕を探るという設定はありますが、ドキュメンタリーなので実在の老人ホームで実在の入居者が登場しています。おそらくセリフは主人公のセルヒオ以外の方は脚本上ではないのだと思います。こうした映画の撮り方は初めて観ましたし、固定のカメラで淡々と会話(インタビューではなく)を撮っていく方法はマイテ・アルベルディ監督の描きたかったものをとてもよく表していたのではないでしょうか。マイテ・アルベルディ監督のファンになりました。マイテ・アルベルディ監督はチリ・カトリック大学で映画と美術を専攻し、小さな世界で起こる日常の物語を通して、登場人物を非常に近い視点から書き出す独自のスタイルを築き上げた監督(83歳のやさしいスパイのオフシャルサイトより)であり、他にも「Tea Time」「The Lifeguard」などの長編ドキュメンタリー映画を手がけているそうですが、日本では公開されていない様です。残念ながら今現在この作品以外は観られないようですが、今後の作品にも期待です。

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