世界滅亡国家史

2022年08月19日 16:50

「世界滅亡国家史」ギデオン・デフォー著という本を読みました。著者のギデオン・デフォー氏はオックスフォード大学で考古学と人類学を専攻。作家であり、アニメ脚本家です。思わぬ形で生まれては消えていった48カ国を、地図から消えた国々の追悼記事集のように解説してくれます。

例えば1440年〜1826年現在イタリアの一部であるコスパイア共和国は、ローマ教皇領とトスカーナ大公国の国境を二股の川に合意したが、そのためコスパイアという村が領主不明の無政府地帯となってしまい、独立共和国が誕生してしまった。国境決定時のミスだったにも関わらず、この国はタバコの生産で400年続いた後、トスカーナ大公国に併合されています。

また1919年〜1923年現在ドイツの一部であるボトルネック自由国は、第一次世界大戦の戦勝国、アメリカ、イギリス、フランスによって占領された時に、雑に国境線を決めたため空白地が生じたことにより誕生した。まずい戦後処理によって生まれたのですが、のちにフランスの債権回収の行動に出てフランスの支配下に置かれました。

1921年〜1944年現在ロシアの一部であるタンヌ・トゥヴァ人民共和国は、1921年頃にモンゴルから独立したのですが、山脈にウランが堆積していることが判明した直後にソ連に併合されています。

1841年〜1946年現在マレーシアの一部であるサラワク王国は、冒険家をイギリスの代理人と勘違いしてブルネイの国王から領土を割譲されています。詐欺の様な話ですが、勘違いで手に入れた土地は最終的には大金でイギリスに売却されています。

欧米各国の植民地拡大争いのどさくさだったり、大国の利害が絡んだ戦争後の混乱期にこのようなかなりいい加減な形で「国」というものが生まれたり消えたりしていることがわかります。日本も満洲国を建国し、消滅させてしまったのですから例外ではありません。ギデオン・デフォー氏は本の中で『人間は、自分が属すべき集団の規模や性質について、絶えず考えを変えながら生きている。その結果、驚くほどの小さな国が誕生することもあれば、小国が巨大な帝国に取り込まれこともある。おそらく、こうした動きはこれからも続くだろう』・・・・・・・・・考えさせられます。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)