キーツ詩集

2022年12月09日 16:00

前回のブログ「ネガティブ・ケイパビリティ」のところで登場しました英国の詩人キーツの「キーツ詩集」世界の詩33彌生書房版1966年出口泰生訳を読みました。(翻訳された出口さんは鎌倉に住んでいた方で、本名は出口保夫と書く様なのですが、本では出口泰生となっていたのでそのままにしました)

ジョン・キーツ(1795年ー1821年)は、イギリスのロマン主義の詩人でバイロン、シェリーと共に第二世代に属する。出版は、結核のため25歳で亡くなる前の4年足らずの間の3冊のみ。今日、キーツの詩と書簡は英文学の中で最も人気があり、数多く解析されている。

詩集などはほとんど読んだことはなくキーツの詩も初めて読みました。読んでみて感じたことといえば、詩というものや詩人というものについて深く考えていた人なのかな?ぐらいです。それでも気になった詩はいくつかありまして「きりぎりすと こおろぎ」「長い間 都会に」「暗いわびしい十二月の夜」などです。ちょうどぴったりの季節なので「暗いわびしい十二月の夜」を紹介させてもらいたいと思います。

暗い わびしい十二月の夜、
幸せに満ちた 幸せな木、
おまえの枝々は 緑葉のあの恵みを、
なにひとつ 覚えていない。
北風が みぞれまじりにびゅうびゅう
吹いても おまえは 平気だ。
凍りついた樹氷が 春に芽をふく
枝々を とじ込めてしまうことがない。

暗い わびしい十二月の夜、
幸せに満ちた 幸せな小川、
おまえの泡立つ音は アポロの夏のまなざしを
なにひとつ 覚えていない。
でもおまえは 快い忘却で
氷結の季節に めったに
めったに こぼさないで 水晶の波の
いら立ちを さえぎることができる。

ああ 多くのやさしい若い男女も
そうあって ほしいもの。
だが 過ぎ去る喜びに
身もだえ しなかった者があろうか。
それを癒すものが なにもなく
それを堅固にする 心が麻痺していない時、
悲しみを体験しない 感動は
詩に 書かれたことが なかった。

ネガティブ・ケイパビリティについて学んだ後にこの詩を読んだので、この詩がちょっと気になって好きになりました。

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