「潮音」宮本輝著を読みました。著者の宮本輝さんは追手門学院大学文学部卒業。広告代理店勤務等を経て、1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。その後、結核のため三年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。「道頓堀川」「錦繍」「青が散る」「流転の海」(全九部。毎日芸術賞)「春の夢」「優駿」(吉川英治文学賞)「約束の冬」(芸術選奨文部科学大臣賞)「骸骨ビルの庭」(司馬遼太郎賞)「田園発 港行き自転車」「よき時を思う」等著書多数。(巻末著者紹介より)
幕末から明治の始まり、世界が突然押し寄せてきた時代。名もなき青年・川上弥一は、変わりゆく国のざわめきの中で、自分の胸の奥に響く小さな“潮の音“を探し続ける。古い価値が崩れ、新しい世界がまだ形を持たない混乱の只中で、人は何を信じ、どこへ向かって歩くのか。「潮音」は、時代の深層流に翻弄されながらも、その音を聞こうとする者たちの静かな勇気を描いた物語です。(COPILOT作内容紹介)
「潮音」全4巻、久々に長編小説を読みました。もともと宮本輝さんはファンで、宮本輝さんの初期作品はほとんど読んでいると思います。最近の作品は読めていなかったのですが、今回は初の歴史小説ということで大変興味深く読ませてもらいました。幕末から明治にかけて時代の流れに翻弄されながらもなんとかその流れを掴もうとする名もなき人たちの物語で、歴史的事実を大筋にした歴史小説になっており(あくまでもフィクションだと思いますが)、面白いというよりも魅力的な物語だなあと感じました。「潮音」とは波の音やうねりのことではなく、もっと深層にある大きな流れのようなのですが、明治の人々は深層の流れを変え、一つの方向に流れることに成功した・・・。今、この深層の流れはどこをどの方向に流れているのでしょうか?潮音を再び聞くことはできるのでしょうか?考えてみたいと思います。