「人間には十二の感覚がある」ジャッキー・ヒギンズ著を読みました。著者のジャッキー・ヒギンズ博士はオックスフォード大学大学院にて科学者リチャード・ドーキンス(「利己的な遺伝子」著者)に師事し動物学を修める。ナショナルジオグラフィック、ディスカバリーチャンネル、BBCなどで制作・執筆を担当。ロンドン在住。ドーキンスは、弟子のデビュー作となる本書を絶賛。「知的でリリカルな筆致に魅了される。この作品で描かれる不思議で奇妙な世界は、われわれの想像を遥かに超えている」との賛辞を贈っている。本書はファイナンシャル・タイムズ紙、ニューサイエンティスト誌の年間ベストブックにも選出された。(表紙裏著者紹介より)
この本は、私たちが一般に「五感」と呼ぶ世界が、実は人間の知覚の一部にすぎないことを示す本である。著者は、感覚を単なる入力装置ではなく、身体と世界の関係を形づくる能動的な仕組みとして捉え直す。人間の世界は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚に加え、痛みや温度、平衡感覚、筋肉や関節の位置を知らせる固有受容、内臓の状態を感じる内臓感覚など、身体内部の感覚によって支えられている。さらに、動いていることを感じる運動感覚、時間の流れを知る時間感覚、自分が生きているという生命感覚まで含めて、少なくとも12の感覚が重なり合い、人間の環世界を構成していると説く。本書の中心的な考えは、感覚が世界を受動的に写すのではなく、感覚の数だけ異なる世界が立ち上がるという視点である。視覚の世界、触覚の世界、内臓の世界、時間の世界が重なり合い私たちの「人間の世界」が形成される。感覚は身体の各部に分散しており、皮膚や筋、内臓がそれぞれ独自に情報処理を行う点で、分散型の生命構造とも響き合う。こうした視点は、感覚が柔軟に再構成される理由を示し、人間の近くが固定されたものではなく、環境に応じて変化しうることを明らかにしている。(COPILOT作内容紹介)
なかなか読み応えがあり面白い内容でした。第9章のチーターと人間の平衡感覚や第12章のマダコと人間の身体感覚は特に興味深く読ませてもらいました。タコの「自己」は中枢に集約されず、身体に分散しており、脳のないところで脳的なことをする生き物である。COPILOTによると、タコの腕(腕?8本足と言われますが)は自律的に位置を推定し、状況判断しながら動いていて、それは人間のように中央集権型ではなく局所的に処理されているそうです。すでに“分散制御““ローカル・インテリジェンス““階層型制御“などロボット研究では応用が始まっており、COPILOTはタコ型ロボットと言ってましたが、分散型自律制御はAIとの相性も良いそうです。AI自体の研究も進んでいるようですが、どのようなAIにどのようなものを組み合わせた未来像を描けるか・・・・・組み合わせも重要な課題になってきているようです。この本では動物の感覚について紹介されていましたが、植物にももちろん感覚器官はあるので、さらにじっくり考えてみたいと思います。