「複雑系」入門

2023年08月03日 14:51

「複雑系入門」金重明著を読みました。金重明さんは小説家でありまた翻訳家でもあります、歴史小説を主に手がけ、韓国関係の翻訳も多く行なっています。1997年に「算学武芸帳」で朝日新人文学賞、2014年に「13歳の娘に語るガロア数学」で日本数学会出版賞などを受賞しており、数学分野の著書も多数執筆しています。

どんな本かを説明するのはかなり難しいのですが、こんな感じです・・・・複雑系とは、相互に関連する多数の要素が全体として予測不可能な振る舞いを見せるシステムのことで、宇宙や生命などの謎を解くために必要な新しい科学なのですが、この本ではカオスやフラクタルなどの複雑系の科学に特有の現象や図形を、数式をほとんど使わずに平易に説明してくれます。また同時に、複雑系の科学がどのようにして近代科学を覆す「第二の科学革命」となったかも歴史的な背景とともに、私のような数学音痴にもわかりやすく解説してくれます。(チャットGPT使用)

この本は面白かった!確かに難しい話は出てきますが・・・・コッホ曲線?1次元と2次元の間の次元????フラクタル次元(相似次元)だと1.26?????肺のフラクタル次元は2.17だそうです。なかなか直感で理解しづらい内容も結構出てきますが、それは置いといて・・・・やっぱり世界は人間の考えているよりも、もっと複雑で、もっとエレガントにできているだろうなあと感じます。もっと人間が進化したら複雑系の科学も直感的に理解できる世代が登場するかもせれません。第5章の「カオスの縁」は中でも特に興味があります。セル・オートマン、ライフゲーム、クラスⅣ=相転移=複雑性の瞬間等々。一般向けに書かれているので数学嫌いなあなたでも面白いと思いますのでぜひ読んでみてください。

著者は『生命は創発する、〈中略〉同様に人間の社会も創発する。私たちはその奇跡の中に生きている。』と書いています。秩序状態とカオス状態の間、芸術的とも言える創造の領域「カオスの縁」・・・・持続可能性とはここにあるのかもしれません・・・・・考えてみたいと思います。

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